きのこまつり
とじる
ノイエルの森に霜が降り、息が白く凍るころ、森のはずれや切り立った崖の上に不思議な形のきのこが生えます。その傘の形はまるでカエルの妖精たちの顔のようにも見え、森の住民たちは「あれは夜話し出すそうだ」などと言い気味悪がるものもいるようです。
そのベージュの色をした奇妙な形のきのこは、やがて森に降る雪とともに色が真っ白に抜け冬の到来を告げるのです。そのきのこは冬の精霊の名前をとって「フロームのきのこ」と呼ばれています。
ワンダフレンドたちは、寒い冬が来る前にフロームのきのこをマスクのように被りお祭りをするのです。
そのお祭りは「きのこまつり」。寒いのが苦手なワンダフレンドたちは冬になると自分の家に篭ってあまり外出をしません。しばらく仲のいい友人たちと会えなくなる寂しさを補うように、みんな思い思いのおしゃれをして朝まで楽しく盛り上がるのです。歌を歌ったり、踊ったり。カエルの妖精たちはおしゃれが大好きなので、お互いのおめかしした晴れ着を褒め合ったり。本当にそれは楽しい時間なのです。
時には遠方より戻った絵本作家の旅の朗読会があったり、時には甘い香り漂う焼き菓子屋がオープンしてみんなで舌鼓を打ったり、時には寂しがり屋のお化けが黒い森から遊びに来ることもあります。
そう、きのこまつりにはたくさんの思い出と夢が詰まっているのです。
長い冬を超え、そしてまた春が来ます。花が歌い、風が目覚めるころワンダフレンドたちカエルの妖精は、またにぎやかな毎日を始めます。
